建物を建てる際,地下構造の把握が重要です。その手法として,波の到来方向を計測することで局所的不均一地盤(図-1)の位置を推定するアレイ観測や、地盤のS波速度構造を調査する表面波探査法があります。これらの手法は,非破壊検査であることや、手軽で安価で済むことなどのメリットがありますが、その妥当性や適用性について検討の余地があります。そこで、サウンディング試験などの地質調査結果との比較や,有限要素法(FEM)を用いた解析により、それらの妥当性や適用性について検討しています。
地下構造の微動探査
 宅地の地盤調査を行う上で最も一般的に使われる調査方法はスウェーデン式サウンディング試験です。この試験は敷地内の数箇所で行うもので、敷地全体の地盤状況を完全に把握することは出来ません。そのため、局所的な軟弱地盤の存在を見落として、住宅が不同沈下してしまう恐れがあります。
 波の伝播特性を利用することにより敷地全体の地盤の不均一性を簡便に評価することが出来ればこのリスクは低減されると考えられます。本研究では微動計を用いたアレイ観測(写真-1)により、加振点と観測点の間の地盤の不均一性を評価することを目的としています。
 観測された波をF−Kスペクトル解析することにより、波の到来方向(図-2)や波長などの観測結果が得られます。地盤条件や加振距離、加振方向を変えて観測結果を比較して、波の到来方向と、中心の微動計と各微動計の波の位相差に着目し、地盤の不均一性との関係を調べています。
図-1 局所的不均一地盤
写真-1 観測風景
図-2 波の到来方向
図-3 FEMモデル
図-4 解析結果